好材料も悪材料も大抵が引け後に発表されます。
場中に発表され、運よくその瞬間に取引できる環境であればすぐに出たり入ったりできるのですが、フルタイム労働者の場合はそうはいきません。
好材料が発表された翌日は、寄らずのストップ高で結局買えなかったり、買えたとしてもGUで寄り付いた後に大陰線を叩いて大損したりと、意外とうまくいかないものです。
そう思って見送ると続き足で順調に大陽線を形成し、「入っておけば良かった!」と後悔することも少なくありません。
今回は、そんな好材料発表後の翌日の攻め方について、最もリスクリワードの高い戦略について考えてみました。
ちなみにこれは日中に張り付きができない方にとっての戦略であり、張り付ける方は、前場開始直後から板を監視し、GUで寄り付いた場合は手を出さず、続き足で始まるなら様子を見て入るといった方法が正攻法です。
寄り成り買いで成功するパターン
アウンコンサルティング(2459)の場合
アウンコンサルティング(2459)は、10月8日、ポストスケイプ(東京都渋谷区)と、インハウスLP作成/LPO支援ツールのタイ・ベトナムにおける海外展開支援を目的に業務提携したと発表し、これが材料視されました。
これを受けて、9日・10日と2日間のストップ高となりました。
9日に寄り成りで買いで入っていれば、235円で買うことができたので、10日のストップ高(380)で売れば、1.5倍以上の大儲けができたことになります。
これは寄り成りで成功した事例と言えるでしょう。
スカラ(4845)の場合
スカラ(4845)は、9月25日(金曜日)の引け後に、『⽇本初の官⺠共創を展開する「Public dots & Company」社との業務提携および、共創型 DX プラットフォームシステム「CO-DO」開発着⼿のお知らせ』を発表し、これが材料視されました。
これを受けて翌営業日の9月28日、964円で寄り付き、ストップ高の1,041円で引けました。
これも寄り成りで買いに入っていれば儲けることができた事例と言えるでしょう。
寄り成り買いで損するパターン
音通(7647)の場合
音通(7647)は、8月7日の引け後に、第一四半期で通期目標の53.5%を達成したという好決算を発表しました。
これを受けて翌日8日には、36円で寄り付き、高値は42円を付けましたが、そこから下げていき終値は34円となりました。
その後はしばらく上昇トレンドのまま推移したので、結果的には寄り成りで買っても問題なかったのですが、その後2日連続で陰線を叩いたので、そこで損切りした人も多かったように思えます。
ソフトフロントホールディングス(2321)の場合
ソフトフロントホールディングス(2321)は、8月13日に決算を発表し、黒字転換したことが明らかとなりました。
これを受けて翌日14日には、137円で寄り付き、高値は149円を付けましたが、そこから下げていき終値は128円となりました。
その後も上昇トレンドが続いたため、高値掴みした人も逃げられる展開にはなりましたが、それまでに損切りしてしまった人も多くいたのではないでしょうか?
この2つから見えてくる戦略
まず一つ言えるのが、この材料ならば寄り成り買いで入れば勝てるし、別の材料なら寄り成り買いで入れば負けるといった法則は存在しないということです。
好決算発表後に成り買いで入って勝てる場合もあれば、負ける場合もあります。
決算以外の材料についても然りです。
なので、材料の種類によって戦略を変えるというのは現実的ではありません。
基本的に寄り成りでの買いは避ける
まずは、寄り成り買いをすべきか否かというところですが、これは基本的に避けた方がいいでしょう。
理由は簡単で、好材料後はGU(ギャップアップ)で寄り付いた後に陰線を叩くことが多く、高値掴みをしてしまう可能性があるからです。
高値掴みをしてしまうと高確率で損切りせざるを得ないため、リスク管理という点からは問題があります。
さらに言うと、GU陰線後はチャートが崩れることが多く、その後もなかなか挽回する機会が来ないことも珍しくありません。
というわけで、寄り成り買いは基本的にはしない方が賢明でしょう。
前日終値の少し上の指値買いで攻めよう
GU陰線の高値掴みを避けたいが、そこまでGUしない場合にはしっかり入って利益を取りたい、その両方を達成する方法が指値買いです。
方法は簡単で、前日の終値よりもそれほど高くない位置で指値買い注文をするだけです。
例えば、前日の終値が200円だったら、それよりも10%だけ高い220円で逆指値注文しておくのです。
そうすれば、例えばGUして200円台後半で寄り付いてそこから陰線を叩いた場合でも反応せず、高値掴みをすることもなくなります(逆に安値からの利益を狙えます)。
逆にGUしなかった場合は、ほぼ続き足の場合と同様に入ることができるので、そこからの上昇に乗ることができる可能性が高くなります。
好決算=好材料ではない
ここで、好決算と好材料の関係について考えていきます。
一般的には好決算は好材料として捉えるのが普通ですが、状況によってはそうでない場合もあります。
すでに上方修正が出されている
すでに上方修正が出されている場合は、好決算であっても織り込み済みのことが多く、決算発表後に大きく下がることも多いです。
下図はテイツー(7610)のチャート図です。
7月15日(長い上ヒゲチャートの日)の引け後に好決算(第一四半期で70%オーバー)が出ましたが、7月1日に上方修正が出されていて完全に織り込み済みだったため、翌日16日には大きな陰線を形成して下落しています。
このように、事前に上方修正が出ている場合は、好決算であっても好材料とは見なされません。
材料が弱い+地合いが悪い
上方修正が出されたとしても、材料自体が弱く、地合いも悪い場合は値上がりせずに逆に値下がることもあります。
下図はドリコム(3793)のチャート図です。
10月22日の引け後に12%の上方修正が出されました。
しかし、そこまでの上方修正ではなかったことと、地合いが悪かったことにより、翌日の23日は値を下げ、さらに翌日も下げるという展開になりました。
今では回復していますが、まさかの下げるという展開に早々に投げてしまった人も多いと思います。
まとめ
好材料が出た翌日は下げることもありますが、基本的には上がります。
前日の終値の少し上くらいで指値買い注文を出しておけば、最も恐ろしいGU大陰線に巻き込まれる確率はほとんどゼロになります。
それでいてうまく続き足で始まってくれた場合はしっかり利益を取ることができるので、かなりおすすめの方法です。
また、寄り成り買いはハイリスクなので、あまりおすすめできません。
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