【無量大数は雑魚!?】
世界の「巨大数」について調べてみた。

雑学

みんな一度は、兆以上の大きな数を覚えたことがあると思います。
小学生の頃は、最も大きい数の単位は「無量大数」だと思っていました。
今回は、そんな極めて大きな数の中でも特に大きい「巨大数」について紹介していきます。

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無量大数=1068

まずは一番有名な巨大数である無量大数から紹介していきます。
無量大数は、一、十、百、千、万、億、兆、京、垓・・・・・・恒河沙、阿僧祇、那由他、不可思議の次にくる単位です。

1無量大数は1068で表され、1の後に0が68個並びます。
1無量大数を実際に書いてみると、「100,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000」となります。
かなり大きいですが、少し頑張れば書き出すことができます。
1秒間に0を1個書くとすると、68秒で書き終わります。

ちなみに、地球上にあるバクテリアの概算数は1030、地球上の水分子の数は1047個なので、無量大数がいかに大きいかが分かります。

グーゴル(googol)=10100

1グーゴルは1の次に0が100個連なった数で、観測可能な宇宙の範囲に存在している全原子(1079~1081)の数よりも多いです。

グーゴルを実際に書いてみると、「10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000」となります。
1秒間に0を1個書くとすると、100秒で書き終わります。
小学生に、「あなたが考える一番大きな数は?」と質問したら帰ってきそうな答えです。

世界最大のIT企業である「Google」の社名は、このグーゴル(google)が由来となっています。

ここまでは、頑張って数字を書き続けていけば何とかなるレベルの数です。
しかし、ここから先は、そういった単純な努力だけではどうにもならない程の莫大な数が登場します。

不可説不可説転=107 × 2122

不可説不可説転は、仏典に現れる数詞の中では最大です。
10の累乗で表すと、1037218383881977644441306597687849648128となり、無量大数やグーゴルとは比べ物にならないほどのデタラメに大きい数です。

ここまで大きいと、指数の右肩にさらに指数を積み重ねないと、書くのにものすごく時間がかかります。
このような表記を「指数タワー」と読んだりします。
1秒間に0を1個書くとすると、1,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000年1030年(100穣年)かかります。
宇宙の年齢ですら140億年なので、指数表記を使わなければどうやっても書ききることはできません。
無量大数やグーゴルとは比較になりませんね。

グーゴルプレックス(googolplex)

グーゴルプレックスは、10を1googol乗したもので、1の次に0が10100(1googol)個連なった数です。
指数表記すると、1010100となります。
一見するとシンプルな表記なので、そこまで大きく感じないかもしれませんが、実際はとてつもなく大きい数です。

例えば、1の次に0が64個付けば1無量大数ですが、グーゴルプレックスは1の次に0が
「10,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000,000」個付きます。
1秒間に0を1個書くとすると、9,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,999,992年かかります。

グーゴルプレックスプレックス(googolplexplex)

グーゴルプレックスプレックスは、10を1googolplex乗したもので、1の次に0が1googolplex個連なった数です。
途方もなく大きな数で、十進法では、観測可能な全宇宙の物質を紙とインクに変えても書き下すことは不可能です。
ちなみに指数表記をすると、101010100となります。

こんなに莫大な数であっても、指数に指数を組み合せれば簡単に書ききれます。
指数ってすごいですね。きっと指数を使って書ききれない数はないのでしょう(フラグ)。

超階乗

超階乗は、階乗を拡張した概念です。
定義としては以下のようになります。

n$=n!n!・・・(n!回繰り返す)・・・n!←文字が小さすぎて見にくいのはご了承ください。

一見すると、階乗とべき乗を組み合わせただけなので、指数表記できそうではありますが、実は今までの数とはレベルが違います。

べき乗を超えた概念「テトレーション」

べき乗は数の右上の肩に数が付けることで、肩の数の回数分だけ乗算を行います。
それに比べて「テトレーション」は数の左上に数を付けることで、肩の数の回数分だけ指数に指数を乗せ続けることができます。
具体的な例で解説します。

33=3×3=27

33=333=327=7,625,597,484,987

3が右上にくっつくか、左上にくっつくかでだいぶ数の大きさに差が出ましたね。
ちなみに3$の場合は

3$=3!3!=66=666・・・6

となり、これは、1010103883775501690よりも大きく、現実世界で例えることなどできないほどの大きさを持った数です。
たかだが6を6回掛け合わせただけの数がここまで大きくなるのは恐ろしいですね。
ただし、まだまだ指数を使えば余裕で表記できるレベルではあります。

ここからは世界が一気に変わります。

3↑↑↑3(トリトリ)

↑は「タワー表記」と呼ばれ、巨大数を表現するために1976年に発明された記法です。
これを使えば、指数ですら表現できないような超巨大な数を作り出すことができます。
乗算(かけ算)が加算(足し算)の反復、べき乗(指数)が乗算の反復だとすると、タワー表記はべき乗の反復とも言えるでしょう。

↑が1本の場合

↑が1本のタワー表記はべき乗と同じ意味を表します。
べき乗とは乗算の反復、つまり指数表記のことを表します。
例えば、25=2×2×2×2×2となります。
これはタワー表記を使うと、2↑5と書くことができます。
つまりは、ab=a↑bとなります。

↑が2本の場合

↑が2本の場合は、↑1本を反復します。

例えば、
3↑↑3
=3↑3↑3
=333
=327
=7,625,597,484,987となります。
矢印の後の数だけ、だんだん指数の肩に指数がかかってくるイメージです。
この数はテトレーションでも登場しましたね。
実は矢印2本のときはテトレーションと全く同じ意味を持つのです。

よって、3↑↑4=3333となります。
これを計算すると、3↑↑4=3327=37,625,597,484,987となります。
矢印の後を3から4に変えただけで、一気に大きくなりました。
これは期待できそうです。
ちなみに気づいたかもしれませんが、3↑↑4=33↑↑3=3↑3↑↑3となります。
一般化するとa↑↑b=a↑a↑↑(b-1)となります。

↑が3本の場合

いよいよ本題です。
3↑↑↑3を計算してみましょう。
↑3本の場合は↑2本を反復します。

3↑↑↑3
=3↑↑3↑↑3
=3↑↑7,625,597,484,987(後半の3↑↑3=7,625,597,484,987に置き換えました)
=3↑3↑↑7,625,597,484,986(前述の一般化の式を参照)
=3↑3↑3↑↑7,625,597,484,985
=3↑3↑3↑3↑↑7,625,597,484,984
=3↑3↑3↑3↑・・・(全部で7,625,597,484,984回=7兆6255億9748万4984回繰り返す)・・・

赤字の部分の数が0になるまでこれを繰り返します。
頭が理解を拒むのでこの辺にしておきましょう。
ちなみに指数で表すと、3333・・・(7兆回以上繰り返す)・・・3となり、指数タワーが7.6兆段もあるので、もはや指数で表すことは困難です。
地球1周が4万km=4000万m=400億mmですので、1mmに1文字「3」を書いたとしても書ききれません。
地球を180周してようやく書ききれる程です。
このあたりが指数の限界と言えるでしょう(地球180周分の長さが必要という意味では、すでに限界を超えていますが・・・)。

たかが矢印1本増えただけでこのあり様です。
ここまでくると、人類が直感的に把握できる数量ではありません。

多分みんな思い付くと思いますが、タワー表記に使用する矢印の本数自体をタワー表記で表すとものすごい数になります。

グラハム数

グラハム数は、ギネス世界記録に認められた、数学の証明で使用された数の中で最も大きな数です。
グラハム数は3↑↑↑3よりもはるかに大きく、指数では表記できないため、タワー表記を使用します。

タワー表記を簡略化してみよう

いちいち矢印をその本数分書いていくのは面倒なので、まずはタワー表記を簡略化してみましょう。
3↑↑・・・(全部で矢印をn個)・・・↑↑3=3↑n3と表記することにします。
矢印の本数をnで表すということです。
この表記を使えば、3↑↑↑・・・(全部で矢印を100)・・・↑↑↑=3↑1003と簡単に表せます。

タワー表記を使用した関数を定義してみよう

タワー表記をさらに簡潔に表記するために、関数G(n)=3↑n3と定義します。

G(1)=3↑3=27
G(2)=3↑↑3=7,625,597,484,987
G(3)=3↑↑↑3=3↑↑G(2)=3↑↑7625597484987(トリトリ)←すでに指数表記も限界
G(4)=3↑↑↑↑3=3↑↑↑G(3)=3↑↑3↑↑3↑↑・・・(全部でG(3)回=3↑↑7625597484987回繰り返す)・・・3↑↑3↑↑←ここまでくるとどのように指数を使っても表記不可能です。

タワー表記より便利な「チェーン表記」

ここで、Gx(n)=G(G(G(G(・・・G(n)・・・))) {←Gが全部でx回登場}と定義します。
このように元の関数自体を引数として組み込む関数を「再帰関数」と呼びます。
例えば、G2(4)を考えてみます。
G2(4)=G(G(4))=3↑G(4)3となります。
式の中にべき乗が入っているため、やや見づらいですし、今後、G(3)、G(4)と増えていった場合、指数がどんどん小さくなっていってしまいます。。
そこで、このような場合にもシンプルに表すことができる「チェーン表記」を導入してみます。
チェーン表記でG2(4)を表現してみると以下の通りになります。

G2(4)=3→3→G(4)

矢印の前後が1番目と2番目の数、3番目の数が矢印の数です。
例えば、3↑1002=3→2→100となります。

チェーン表記を使えば、べき乗を用いずにタワー表記同様の超巨大な数を表すことができます。

グラハム数を求めてみる

次は、G3(4)を考えてみます。
チェーン表記を用いるとG3(4)=3→3→G2(4)となります。
ちなみにタワー表記の場合は、G3(4)=3↑3↑G(4)33と表されます。
ここでもチェーン表記がすっきりしていることが改めてわかります。
この関数の埋め込みを全部で64回繰り返すと

G64(4)G(G63(4))=3↑・・・(G63(4) 本)・・・↑3=3→3→G63(4)となります。

実はこれがグラハム数なのです。
G(3)ですら、具体的な数を求めることを放棄したのに、それよりも遥かに大きいG(4)よりも遥かに大きいG64(4)は、人類の想像には及ばない領域にある数なのでしょう。

ちなみに、チェーン表記で「3→3→3→3」と表すと、グラハム数よりも大きくなります。

アッカーマン関数

アッカーマン関数は再帰的な関数で、元の関数自身を新たな関数に組み込み続けます。
アッカーマン関数は引数を2つ持ち、以下のように3つの場合分けによって表現されます。

Ack(m,n)=n+1 ※m=0のとき
Ack(m,n)=Ack(m-1,1) ※n=0のとき
Ack(m,n)=Ack(m-1,Ack(m,n-1)) ※それ以外の場合

パッと見そこまで大きな数を生み出す要素はなさそうですが、引数の値によっては、さながら無限ループのような挙動を示し、膨大な数になります。

例えば、Ack(2,1)=5ですが、Ack(4,1)=65,533となります。
m=2を4に変えただけでここまでの差が出るのです。
ちなみにm=6にすると、十進法では表記が不可能なレベルになります。

アッカーマン関数を用いれば、タワー表記やチェーン表記ですら表しきれないほどの超巨大数ですら作り出すことができます。

無限大(∞)

無限大は概念であり、数値ではありません。
数はどこまでも大きくなり、終わりがないため、永遠に増加し続けます。
そういった概念のことを無限大と呼びます。
当然、グラハム数を含めた自然数よりも大きいです(大きい小さいの問題ではなく、そもそも世界が違うが)。
仮に最も大きい自然数nがあったとしても、そこに1を加えたn+1が定義できてしまう以上、最大の自然数というものは存在しないことが分かります。

無限大にも「強さ」がある

無限大とひと括りにいっても、実は違いがあります。
それは「発散のスピード」によって決まります。
例えば、n→∞とした場合、lim(n)とlim(n2)では、発散のスピードが違います。
前者は、1→2→3→4→・・・・・・と1ずつ増加するのに対して、
後者は、1→4→9→16→・・・・・・と増加のスピードが速いです。
よって、発散のスピードが大きい後者の方が比較的「強い」無限大と言えます。
逆に、lim(logn)とした場合、lim(n)に比べてかなり緩やかに増加していくので、こちらは比較的「弱い」無限大と言えます。
lim(2n)の場合は、lim(n2)よりも比較的「強い」無限大となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
どんなに頑張って数字を書き続けても表現できない程の数が存在するというのは驚きだったのではないでしょうか?
しかもグラハム数に至っては、数学の証明中に登場したということで、全く無意味な数でないというのも驚きです。
無意味な数であれば、「ぼくのかんがえたさいきょうのかず」として小学生にチェーン表記で書かせればいくらでも大きくできます。

最後の無限大の部分は蛇足だったかもしれませんが、どんなに想像を絶する大きな数であっても、それをさらに超える数は存在します。
そういった意味では、ここで挙げた巨大数であってもすべての自然数の中では極めて小さい数であると言えるでしょう。

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