【議員は足手まとい!?】新型コロナウイルス対策の10万円の給付スピードで分かる自治体首長と議員の判断力について考察してみた

地方行政

青森県の西目屋村や熊本県の産山村が、全国最速(5月1日)で新型コロナウイルス対策の給付金10万円を支給すると発表しました。
しかし、ほとんどの自治体はこのスピードに付いていけていません。

今回は、なぜこのスピードの違いが生じるのかを解説していきます。

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支給のためには補正予算の可決が必要

今回の給付金の財源自体は国から出されるものの、それをいったん自治体の歳入(収入)として受けてから、さらにそこから自治体の歳出(支出)として、住民に給付する必要があります。
よって、支給の執行をする前に、自治体の補正予算を可決する必要があります。

補正予算の可決には、通常、議会(議員の合議体)による議決(多数決)が必要ですが、自治体の首長(市長村長)が専決処分を行うことも可能です。
専決処分とは、「本来自治体の議会による議決が必要な事項を、首長が決定すること」です。

議決を経るか専決処分を行うかで、補正予算の可決のスピードが異なり、これが支給のスピードに直結してくるのです。
補正予算の可決の方法には以下の3通りが考えられます。

支給が早い(専決処分をする)

西目屋村のように給付金の支給が早い自治体は、首長の専決処分で補正予算を組んでいます。
専決処分というのは、分かりやすく言うと、首長の独断で決定するということです。
ただし、次の議会で専決処分したことを報告する必要があります。

首長が「議員の意見なんてどうでもいい!とにかく早く給付するんだ!今すぐやれ!」という姿勢であれば、この専決処分が成されます。
これを達成するには、議会の戯言を一蹴するほどのパワーを首長が持っていることが重要です。
つまり、パワーバランスが「首長>議会」であることが重要です。

専決処分に踏み切る首長はややワンマン気質があるかもしれませんが、住民のことを第一に考える素晴らしい首長だと言えるでしょう。
間違いなく優秀であり、地域の宝です。

支給が遅い(臨時会を開く)

おそらく、ほとんどの自治体がこの方法を採るのではないでしょうか。
臨時会とは、緊急時や特別に必要な場合において、定例会(3・6・9・12月)とは別に、首長が招集する議会です。

首長が独断で決定せずに、議会による補正予算の決定を求めた場合には、この臨時会が開かれます。
臨時会と言えども会議ですので、通常の定例会と同様に、「議員による質疑」「議員による討論」「議決」の3ステップを踏む必要があります。

確かに民主的手続きである議決を経るというのは、本来的には正しいことなのです。
しかし、今回は単純に各住民に10万円を支給するということは、ほぼ決定していることで、細かい部分(DV被害者への支給方法など)は執行方法の問題なので、議会で補正予算を付けるか付けないかを議論する余地はほとんどないはずなのです。

では、なぜ首長は臨時会を開くのでしょうか?
それは議会のメンツを保つためです。
議会は自分たちの存在意義を守るために、「俺たちを無視して決めるな!」と圧をかけて、首長に専決処分させずに臨時会を開かせ、そこで熱のこもった(と思わせる)演技力でいえば満点の答弁をします。
「自分たちは住民のことを色々考えているんだぞ」という主張をするのです(もう完全に次回選挙用のパフォーマンスです)。

しかし、前述のとおり、この案件は補正予算を可決する以外の選択肢はありません。
臨時会を開くことも、そこで議論を交わすこともすべて単なる遅延行為に他なりません。
どんなに熱い議論を交わしたところで、補正予算の額も、そしてそれを可決するという未来も何一つ変わらないのです。

住民の中には、一刻も早い給付が必要な人たちがいます。
そんな人たちの邪魔をしているのが、議会であり議員であります。

議員なんてただ人気投票(選挙)を勝ち抜いただけの人に過ぎません。
新型コロナウイルスについて特段詳しいわけでもなく、頭が良いわけでもありません(口はうまいかもしれませんが、そんなのウイルスには無関係です)。
そんな人たちが議論をして何の意味があるのでしょうか?
手上げ(議案に対する賛成・反対の意思表示)に何の意味があるのでしょうか?

臨時会の開催を首長に迫った議員は、住民の代表者たる資格はないでしょう。
そんな議会に屈した首長も保身に走りすぎな感があります。

論外(次の定例会を待つ)

専決処分もせず、臨時会も開催しない場合は、次の定例会(6月)の議案として提出します。
この状況下で6月まで延ばすというのは絶対にありえない判断です。
この判断を下す首長・議会は単純にやる気の欠片もないです。
まさに無能の極致です。

まさかそんな自治体はないとは思いますが、もしこんなことをしている自治体があれば、次の選挙では絶対に現職の首長や議員に投票してはなりません。
完全に住民の敵です。

まとめ

とにかく首長がどれだけ議会を忖度するか、議会がどれだけ自分たちの存在意義(そんなものはない)を主張するか、首長と議会のどちらがパワーが強いかで支給スピードが変わってきます。

今回の給付金の件については、首長が有能で度胸があれば絶対に専決処分すべき案件です。
首長にとってもそちらの方が早いですし、手続きも簡単です。
それができないのは、議会が首長に圧力をかけているからに他なりません。

皆さんもお住いの自治体が、専決処分にするのか、臨時会を開くのか、はたまた次の定例会を待つのかに注目してみてはいかがでしょうか?

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