昨今のコロナ禍でますます人気が高まりそうな公務員。
条例によって給与が保証されているため、コロナ時代でも安定した収入を得ることができます。
そんな公務員を目指すためには、公務員試験に合格することが必要です。
その中でも自治体(区市町村)の採用試験は、国や都道府県とは異なり明らかに人物重視の風潮が進んできました。
今回は、そんな自治体採用試験の集団討論について、実際に勝負が決まるポイントについて解説していきます。
集団討論については、どの自治体も決められたテーマに沿って議論をし、グループとしての回答を出します。
グループのメンバーは「司会」「タイムキーパー」「書記」「役なし」の4つの役割が割り当てられます。
今回はそれぞれの役割の紹介と、どの役割を担うのが賢明なのかを発表していきます。
司会
おすすめ度:
評価タイプ:ハイリスク・ハイリターン
司会は、グループ内の討論のマネジメントを行う役割です。
討論の流れを作ったり制御したりすることで、正しい方向に議論を導きます。
グループで最初に決めるのがこの司会の役割です。
大抵は司会を決めるとなると、数秒の沈黙の後に誰かが「じゃ、じゃあ・・・」と言って手を挙げることになります。
この積極性は買われると思っている受験生も多そうですが、実際、司会は難易度の割には合格する確率はそれほど高くはありません。
司会に向いている人
司会はマネジメント能力が強く要求されます。
グループ員の中にはズレた方向に話を進めていってしまう人もいます。
というか必ずそういう流れになってしまいます。
そういったときにビシッと指摘し、議論を正常に戻すことが必要です。
しかし、これが難しく相手を傷つけるような言い方をしてはいけません。
やんわりとなだめるように言う必要があります。
司会になるべき人は、相手の意見を一旦受け止める「傾聴力」と相手を自分の思うように動かす「説得力」、そしてそれ言葉で相手に伝える「度胸」、最後に自分の意見に周囲を従わせる「リーダーシップ」が必要です。
公務員になりたい人でこんな人っているんでしょうか?
司会の攻略法
司会の攻略法は困難ですが、以下の5つを実行できれば上出来でしょう。
- 全員に満遍なく意見を求める。
- 討論がズレた場合に修正する。
- 適当なところで皆の意見をまとめる。
- タイムキーパーの時間管理に基づき、自身で進行管理をする。
- 他者に司会の役目を奪われないようにする。
この中で手軽に実行できて評価も上がりやすいのは1つ目です。
あまり発言していない人に話を振ることは、全体を見渡していることや、他者への配慮ができることの証明となります。
誰が発言していないかは、グループ全体を見ていれば簡単に分かるので、やらない手はありません。
2つ目と3つ目も大切ですが、演技っぽく見えてしまったり、グループ内がギクシャクしている場合はいたずらに傷口を広げる可能性もあるので、自信がない場合は避けた方が無難かもしれません。
4つ目と5つ目は他者の動向に左右されるので、常に警戒しておきましょう。
討論の流れは司会が操るものであるという意識を切らさずに、自分を強く持つことが大切です。
特にタイムキーパーによる司会乗っ取りには要注意です。
乗っ取られそうになったら、一旦聞き入れたうえで、再度正式に自分の言葉で発することが大切です。
司会は事故が多すぎる(ハイリスク)
ここまで述べたとおり、司会は非常に難しい役割です。
しかし、司会が超ハイリスクと言われる所以はそれだけではありません。
以下に理由を列挙します。
- そもそも司会の役割が難しい。
- グループ員の相性が悪いと終わる(事故)。
- 司会でもないのに仕切りたがる人がいると終わる(事故)。
- タイムキーパーに役割を乗っ取られる危険性がある(事故)。
- テーマに詳しすぎる人の意見をまとめられない危険性がある(事故)。
見れば分かる通り、他者に由来する事故が多すぎます。
以下にそれぞれの詳細を述べます。
1.司会の役割が難しい
前述しましたが、司会は難しいです。
自分と同レベルかつ同じ立場(受験生)の他者をまとめるのは、非常に困難です。
自分だけが立場が上であれば何とか務まるかもしれませんが、フラットな立場であればそうはいきません。
「朝まで生テレビ」のあのカオス具合を想像したら分かると思います。
2.グループ員の相性が悪いと終わる
これもあるあるです。
グループ員全員が互いの意見を尊重しつつ自分の意見も言える人だと議論もうまくまとまりますが、そんなことは稀です。
特に自己主張が激しいタイプが2人以上いたら、その瞬間に司会は終わりです。
集団討論が戦場と化します。
というか自己主張の強いタイプはグループに1人でもいたらかなりヤバいです。
司会にとっては自分と対等な立場の受験生で、かつ自己主張が激しいタイプの人を御するのは極めて困難です。
3.司会でもないのに仕切りたがる人がいると終わる
たまにいるのですが、なぜか途中から司会の役割を乗っ取る人がいます。
当然その人は司会ではないので、司会の役割を乗っ取った時点で不合格決定なのですが、乗っ取られた司会も不合格になります。
完全な事故です。
4.タイムキーパーに役割を乗っ取られる危険性がある
タイムキーパーは時間を測るのが主な役割ですが、正直、司会や書記に比べると仕事量が少なすぎます。
そこで、自分の評価を上げようと思って、時間を伝えるだけでなくその後どうするべきかも決めようとしてくる人が多いです。
しかし、それは本来は司会の役割なので、タイムキーパーが決めるべきことではありません。
もちろん司会に対する助言という程度であればよいのですが、「じゃあ次は○分間で討論をしましょう!」などと勝手に決定してしまうこともあります。
こうなってしまうと、司会もタイムキーパーも両方不合格となる可能性が高いです。
実際にこれが原因で共倒れとなった例を見てきました。
5.テーマに詳しすぎる人の意見をまとめられない危険性がある
たまに集団討論のテーマについて異常に詳しい人がいます。
司会は。グループ員が述べた意見を端的にまとめる役割もあるのですが、そういったやたらと詳しい人の意見は専門知識が入っていることが多く、難解であるため、知識が不足している司会では正しくまとめることは難しくなります。
そうなると当然、司会の評価は落ちます。
司会についてのまとめ
司会は、本当に優秀で周囲に流されないタイプであれば、うまく務め上げることができ、合格することができるでしょう。
しかし、グループ員の性格や動向に左右されることが多く、リスクに対してリターンが見合っていないとも言えます。
司会に手を挙げるのはあまり得策ではないでしょう。
ただし倍率が異常に高い自治体であれば、司会を成功させることが唯一の突破口になるといったケースも考えられます。
書記
おすすめ度:
評価タイプ:ミドルリスク・ミドルリターン
書記は、グループ内で出た意見をボード等に書いてまとめる役割です。
グループ員が出した意見を、その場で適切な文量に要約して、分かりやすくボードに書かなくてはなりません。
一見地味ですが、実際に書いたものが試験終了まで残り続けるという意味では、他の役割以上に試験官に自分をアピールできるともいえます。
書記に向いている人
書記に向いている人は、他者の意見を簡潔に要約できる人です。
不要な部分や冗長な部分はズバっと切り捨てる思い切りの良さと、核心の部分は残しておく頭の良さが必要です。
また、ディスカッションが苦手な人が逃れる役としては、タイムキーパーよりも評価されやすいため、ほぼこの書記一択となります。
そして、これは飽くまでついでですが、読みやすいレイアウトでボードに書けることも大切です。
書記として、字が汚かったり、文字がだんだん上がったり下がったりして読みづらかったりするのは、あまりよろしいとは思えません。
評価項目にはありませんが、最後に残ったボードに書かれた文字が雑だと、試験官の心証を悪くするかもしれません。
書記の攻略法
書記は以下の4つを行う必要があります。
- 有益な意見はしっかりボードに残しておく。
- どうでもいい意見はバッサリ切る。
- 自分もたまには議論に加わる。
- 読みやすい字とレイアウトで書く。
この中で実は一番大事なのは3つ目です。
これはタイムキーパーにも言えるのですが、役割を与えられたからといって議論に参加しないのは論外です。
その時点で不合格と言ってもいいでしょう。
とは言っても、書記はタイムキーパーよりも大変なので、グループ員の平均より喋る必要はありません。
残りはあまり意識しなくてもいいですが、他者が喋った内容のうち、不要な大部分をしっかり削る(場合によっては、発言全てをスルーする)覚悟が必要なので、そこは気を確かに持ちましょう。
タイムキーパー
おすすめ度:
評価タイプ:ミドルリスク・ローリターン
先に言っておきますが、タイムキーパーでも合格することは可能です。
しかし、そういう人は書記でも役なしでも合格します。
よって、あえてタイムキーパーを担う必要はありません。
単にリスクを高めるだけです。
さて、本題に戻りますが、タイムキーパーは討論の時間管理をする役割です。
各自の考察、討論、まとめにそれぞれ何分ずつ割り当てるのかを司会が決定し、時間が来たらグループ全体に報告します。
これだけ聞くと、ぶっちゃけ何のために存在するか分からず、仕事もほとんどないように思えます。
タイムキーパーに向いている人
ディスカッション能力が低い人、時計を持っている人です。
タイムキーパーをおススメしない理由
タイムキーパーは時間を測って報告するのが「最低限」の仕事です。
つまり、それだけできても何の加点もありません(それすらできなければ即不合格です)。
与えられた役割をこなしても加点がないわけですから、それだったら役なしの方がマシでしょう。
また、アピールしようとすると、どうしても司会と役割が被りがちになり、下手をすると知らぬ間に司会の権限を侵してしまうことにもつながりかねません。
そうなってしまったら、司会ともども終了です。
タイムキーパーの攻略法
タイムキーパーにならないことが一番ですが、運悪くなってしまった場合はどうすれば良いのでしょうか?
ズバリ答えは、役なしの人の座を奪うことです。
簡単に言えば、誰よりも積極的に議論に参加し、良い意見を言うことです。
もちろん時間を管理しながらなので、多少は役なしよりも不利ですが、そもそも時間管理はあってないような仕事量なので、合否に直結するほどのものではありません。
下手にタイムキーパーの役割を工夫するより、議論に参加した方が賢明でしょう。
役なし
おすすめ度:
評価タイプ:ローリスク・ミドルリターン
最もおすすめなのは、役なしです。
理由は簡単で、役に縛られないからです。
司会の運行や時間配分、書記の板書に意見しても越権行為にはなりません。
自由に動けるため、役割を意識した不自然さやぎこちなさが出ることはありません。
のびのびと自分の意見を言うことができますし、議論に集中することができます。
実際の選考試験でも、役なしの通過率は他の役割よりも高めのように感じます。
役なしに向いている人
ディスカッションが苦手ではない人
役なしの攻略法
役なしの人は、いかに良い意見を言うかが重要です。
これは、書記やタイムキーパーが議論に加わる際も同様です。
意見を言う際に大切なのは以下の2点です。
- 他者の意見を尊重する(論破しようとしない)。
- 市の基本施策の理念を盛り込む。
1点目は簡単です。
自分と違う意見が出たとしても決して否定せず、頷きながら聞き、一旦受け入れてから持論を展開するという姿勢を取ればいいだけです。
2点目が重要で、他者に差を付けられるポイントです。
どの自治体も基本計画といったものを作成しており、そこにはその自治体の理念が盛り込まれています。
どの自治体にも共通して書かれている項目(子育て環境の充実など)と自治体独自の項目があるので、後者を重点的に理解しておく必要があります。
自治体独自の施策理念を討論に盛り込めば、自治体のことをよく研究していると評価されるため、合格に近づきます。
これは、「頷きながら他者の意見を聞く」などの小手先のテクニックよりも有効となるケースが多いです。
また、役割ありのメンバーが自滅することも多いので、そうなったらあえて指摘せずに、静かに見守ってあげましょう。
それで役なしの評価が下がることはありません。
まとめ
ディスカッションが苦手でなければ、集団討論では役なしがおすすめです。
ディスカッションが苦手な人は書記が無難です。
他の役はリスクの高さとリターンが釣り合っていないため、手上げは避けるべきです。
ただし、超高倍率の自治体の場合は、司会をやるのも戦略としてはアリです。
また、どの役割にも共通して言えることですが、自治体の基本計画は必ず一読しておくようにしましょう。
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